山本太郎


1974年熊本県生まれ。2000年京都造形芸術大学卒業。
大学在学中の1999年に、寺社仏閣とファーストフード店が至近距離で混在する京都にインスピレーションを受け、 伝統と現代、異質な文化が同居する「ニッポン画」を提唱。
日本の古典絵画と現代の風俗が融合した絵画を描き始める。
近年は企業等と積極的にコミッションワークを行いキャラクターを使用した作品も多数制作している。その作風は現代の琳派とも評される。
2022年より、京都美術工芸大学特任教授。2015年京都市芸術賞新人賞、京都府文化賞奨励賞受賞。 熊本地震の復興を応援する活動を積極的に行い、地域に貢献するアーティストの一人である。


SHOW-TARO(SHOWKO+山本太郎)展示
〈コンセプト:Parallel world/ Parallel time〉


コンセプト解説:
漫画やアニメ、ドラマなどのコンテンツの中で「タイムリープ」や「転生」「別の世界線」などという言葉が使われるようになって久しい。パラレルな世界を作り出すことで物語が展開する。しかし、パラレルであることは物語の中だけでなく現実もそう変わらない。
世界は常にパラレルである。
私たちは同じ時間と空間を共有して生きているようでも、実は人によって全く違う世界と時間を生きている。
「葉隠」という書物は時代を超えて、日本という国の中で読み継がれてきている。
しかしまるでパラレルワールドで転生を繰り返すキャラクターのようにその評価が時代とともに移り変わっている。
江戸時代の鍋島藩の藩主に仕える者の心構えを示した書物だったものが、近代になりいつの間にか忠君愛国のシンボルとなり、そして戦後は軍国主義的書物として禁書扱いを受けたかと思えば、三島由紀夫などにより再評価され、そして今やビジネス書となった。
「葉隠」は木の葉が吹く風により裏返り、陰に隠れたり表に返ったりするように、虚実が入れ替わるように、違う意味の読み物としてパラレルに存在してきた。
この「葉隠」を冠した展覧会に絵画と器による新しいユニットが出品するーSHOW -TARO。
絵画は「虚(イメージ)」である。
実用性のないままイメージだけを提供する。しかし日本では「虚(イメージ)」である絵画に屏風という「ボディ」を与えて実在化させた。屏風にすることで「虚(イメージ)」は自立して存在となる。
器は「実(リアル)」である。実態のある物質を入れる入れ物として存在している。
しかし、器は加飾され、あるいは経年を経ることで「物語」を持つようになる。「実(リアル)」であるはずの器の中に実態ではない「虚(イメージ)」が入り込む。
虚実は風に吹く葉のように裏表が入れ替わる。
世界は常にパラレルである。人によって全く違う世界と時間を生きている。
だからこそ、一瞬でも同じものを見て、同じ音を聞いて同じ感覚を共有できたと思えたとき感動が生まれる。それを人は美と呼ぶと思う。
そのような作品がこのユニットから生まれることを願う。


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