大和美緒
大和美緒は、油絵具を使用して一つ一つ手作業で描いたドットや、ペンで一本一本引いた線から構成されるRepetitionシリーズの制作を続けてきました。具体的な完成イメージを持たずに、単純な動作の繰り返しの果てにたち現れる画面は、時間の経過をキャンバスの中に捉え、不思議とどこか有機的で親近感のあるイメージを生み出します。
大和はこの気の遠くなるようなプロセスを通して、木が自然の摂理に従って徐々に年輪を築いていくように、崇高な自然の摂理やシステムを可視化することを試みています。
大和美緒は1990年滋賀県生まれ。2015年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院美術工芸領域を修了し、現在は京都を拠点に活動をしています。
遠くから大和美緒の作品を眺めると、白いキャンバスに赤色のレースが掛かっているかのような印象を持つだろう。
実際には、キャンバスの端から、赤い油絵具を使って、小さなドットを置いていく。そのルールに従って描き続けていくと少しずつズレや呼吸のタイミングなどで、赤い絵の具が生き物のように踊りだす。
ルールの中での解放であり、生きる命の活動の痕跡だ。今回、黒い漆の井川健とのコラボレーションを用意した。
予想を超えて、美しく共鳴している。この出会いの先にも期待したい。